米韓同盟消滅後の朝鮮半島と日本の難民対応能力について!

韓国の文政権は22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄しました。

US military image
これにより日米韓の間で、中国や北側の挙動に関するスムーズな情報共有が不可能になることから、米韓同盟においても軍事作戦上少なからず支障をきたすことになります。

今回の決定は北側はもとより、虎視眈々と拡張の機会をうかがっているロシアと中国にとって大きな後押しとなるものです。韓国国内でも賛否が別れています。

これが米韓同盟の消滅に繋がる可能性も皆無ではありません。いずれにしても朝鮮半島有事の懸念が高まリました。

本稿では米韓同盟消滅後の朝鮮半島の状況を予想し、大量の難民が発生した場合の日本の難民対応能力について考えてみました。

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米韓同盟消滅の序章

朝鮮半島は米軍が駐留していることが北の抑止力として働いています。そのため米軍の存在が安心感に繋がっているせいか、韓国国民は不思議なほどに北の侵攻に危機感がありません。

しかし在韓米軍の撤収は既にはじまっています。

在韓米軍の撤収

米韓連合司令部がソウルから南方の平沢に移転する事になりました。韓国の首都ソウルは地理的に38度線の直近に位置しており、そこから米軍が比較的安全な南側に移動します。

また有事の際の韓国軍の指揮権は米軍にありましたが、それを韓国に返すことになりました。これは文政権の要請に沿うものであり、同時に連合指揮官も韓国側から選任されることが決まっています。

米軍は韓国軍の指揮下に入ることはないので、明らかにアメリカは在韓米軍を撤収させる方向で動いていることになります。

米韓同盟の消滅

今回のGSOMIAの破棄について韓国大統領府関係者は、「アメリカとも十分な事前協議があり、アメリカは韓国政府の決定を理解している。GSOMIA破棄で揺らぐ韓米同盟ではない」とコメントしているそうです。

果たして本当にそうでしょうか。アメリカの目的は北の核戦力の全廃であり、以前から北との融和政策を掲げる文政権にはやり場のない不信感を抱いています。

北に対する人道支援に名を借りた資金援助、せどりの問題、その他のあやしいそぶりはすべてアメリカは詳細に分析しているものと思われます。

既にトランプ大統領は米韓同盟の終了を視野に入れているフシがあり、在韓米軍の駐留維持費の韓国側の負担金を強引に吊り上げています。

要するにトランプ式のビジネスマン的な発想では国益に合わないということであり、米韓同盟の終了は野党の民主党も賛成しています。

そうした中で日韓のトラブルが発生し、このような状態に至りました。文政権にはうんざりしているというのがアメリカの本音ではないでしょうか。

しかし今回の決定は米韓同盟の消滅にはよい口実になります。かなり早い時期に具体的な決定がなされるように思います。さらに米韓同盟消滅の可能性は北側も把握しているような気がします。

米韓同盟消滅後の朝鮮半島は?

米韓同盟消滅後の朝鮮半島の状況を予想してみます。

北の核戦力の全廃は米韓同盟消滅の有無に関わらず不可能と思われます。理由は既に核保有国となっているからです。核は絶対的な抑止力であり、北がそれを手放すことはあり得ません。今、現在も着々と技術を向上させていることでしょう。

米韓同盟消滅後の大きな可能性として、中国の仲介により一国二制度の建前か、または他のより好ましい新体制のもとに、歴史的な南北統合がなされるかも知れません。

このような提案には韓国の文政権は喜んで同意すると考えられます。しかし統合されたところで北側は文政権の掲げる融和政策が通用する相手ではありません。

もとより一国二制度などは眼中になく、南北統一国家の主導権をあらゆる手を尽くして掌握し、反対派は粛清し、核保有国として半島に居座ることになると予想されます。

一方別の見解では、韓国は中国に取り込まれるという見方も根強くあります。歴史的にみると朝鮮王朝は中国の属国としての時期があリました。

しかしこれはないかと考えます。なぜなら今や北側は核保有国として発言力を増しており、南北統一は彼ら民族の問題であること、さらにロシアの牽制があるからです。

いずれにしても、こうした状況で内戦に発展して再度2つの勢力に分裂したり、ロシアや中国の介入があったとしても最終的には、明瞭な目的意識と強い攻撃性を持つ「北」が南側を飲み込み勝利するかと思われます。

その騒ぎの中で大量の難民が発生します。彼らの希望する避難先は歴史的、地理的にアメリカ、欧州、中国、ロシア、台湾、日本が考えられます。

日本の難民対応能力は?

国連UNHCR協会によると2017年で、7,000万人近い難民が世界中に存在するそうです。

難民条約では難民について以下のように定義しています。

難民とは
人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々のこと

難民の人数

朝鮮半島有事の際に難民はどのくらい発生するのでしょうか。

難民は南北共に発生します。北側2,500万人、韓国5,000万人の人口のうち、シリアやアフガニスタンなど過去の難民発生国の例からしても数を推定することは困難ですが、南北合わせて少なくとも1,800万人以上の避難民が発生するのではないかと思われます。

大部分が韓国からの避難民でそのうち少なくとも200万人が日本への脱出を希望すると思われます。

日本の難民に対する法的義務

日本は他の先進諸国と同様に、いわゆる国際人道法に加盟しています。すなわち、「戦時における文民の保護に関するジュネーブ条約」と、それに関連する追加議定書の締約国の立場にあります。

これは要するに日本を頼って政治的に避難して来た人達に対しては、「難民」であるかどうかの認定は別問題としても、とにかく人道的に対応しなければならない国際法上の義務になります。

日本において難民対応問題を考えるにあたってこのことはしっかりと踏まえていなければなりません。

日本の難民対応能力

残念ながら日本は多数の難民の対応能力はほぼゼロといえる状況です。日本は地政学的に難民とは無縁の国でした。難民に対する理解も無ければ法整備も整っていません。

直近での難民申請者に対する日本の認定率は0.2%とされており、先進国中ではずば抜けて低い数字です。受け入れ数も100名を超えることはありません。

米、英、仏、加、独といった諸国の難民認定率はすべて二桁に達しており、その中でも一番低い数値が仏の17%の認定率です。独に至っては30%近い認定率で受け入れ数は100万人を超えています。

以下に参考までに国連UNHCR協会2018年発表の最大の受け入れ国を挙げます。

最大の難民受け入れ国5傑

 1. トルコ   370万人(4年連続1位)
 2. パキスタン 140万人
 3. ウガンダ  120万人
 4. スーダン  110万人
 5. ドイツ   110万人

おわりに

今日は朝鮮半島有事の際に、大量の難民が日本に流れてきた場合を想定してリサーチしてみたのですが、日本の難民対応能力は全く論外で、話にならない状況でした。

日本は平和憲法と日米同盟により戦後の疲弊した時期を乗り越えて今日の国際的な地位を築いています。「難民」や「戦争」という言葉にはおよそ無縁に平和な時期を過ごしてきました。

しかし既に時代が大きく変わっており、現実にこのような問題が降りかかろうとしています。真剣に危機感を持って考えるべき時期にきています。

難民受け入れの是非はともかく、日本も先進国に名を連ねるのであれば、人道的な措置の一環として、法整備や国民の意識の啓蒙も含めて、恐怖と迫害から逃れてきた人達に対応できるような、国内体制の整備は喫緊の課題と考えます。

玄関払いは断じて許されることではありません。