フセイン政権崩壊後のイラクの現状を分かりやすくまとめてみました!

イラクは、あのフセイン政権崩壊のイラク戦争から早くも16年を経過しました。
現在、中東ではサウジアラビアや米トランプ政権と激しく対立しているイランが世界に注視されています。
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イラクについてはほとんど日常の話題にのぼることはありません。その後のイラクの現状が気になります。イラクには日本政府も自衛隊を派遣してイラクの国家再建を支援した経緯があります。
 
本稿ではフセイン政権が崩壊してから今日までのイラクの現状を分かりやすくまとめてみました。

イラク戦争とは

米英の有志連合軍は2003年3月、仏、独、中、露の反対にもかかわらず、強引にイラクに攻め込みイラクのフセイン政権を2ヶ月で崩壊させました。
 
しかしその後米英軍の占領政策のまずさや、イラク新政府の失政と暴虐が重なり、深刻な民族や宗派の対立を引き起こし、戦闘状態はその後も延々と続きます。
 
毎日のようにほうぼうで暗殺やテロ、拉致や拷問が繰り返されました。
 
米国のイラク侵攻は国連安保理により義務付けられた大量破壊兵器の破棄違反を理由とした侵攻でしたが、戦後の丹念な捜索でも大量破壊兵器は見いだせず、結局緊急差し迫った脅威はなかったことが判明し、大きな非難を受けブレア英首相は辞任します。
 
特にこの時の米軍による非人道的行為はアラブの人達に後々までも拭いきれない傷跡と深い憎悪の思いを残しています。

アブグレイブ刑務所での米軍女性兵士による投降イラク兵捕虜に対する虐待などは氷山の一角に過ぎず、多数の不法な拷問と虐殺が疑われています。

この戦争の意味は中東を大きく混乱させるとともに、米国に対する中東の人達の憎しみを増幅させ、更にイランの潜在的な影響力をイラク内部に浸透させたところにあります。

戦後の混乱とISの興亡

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フセイン政権崩壊後のイラクは治安が大いに悪化しました。政権が逆転したことから報復の嵐が吹き荒れました。

フセイン政権崩壊後の混乱

戦後、旧フセイン体制の人達はすべて公職を追われ、その他の民族や宗派の争いに巻き込まれた多数の人達とともにイラクの新政権下では徹底的に迫害され虐待されました。
 
独裁体制から議会制民主主義が採り入れられ、民主的な選挙により首相が選ばれることになりましたが、2005年のイラク議会選挙ではイランと密接な関わりがあるイスラム教シーア派の政党が圧勝し、それ以降親イラン政党が政権を握り続けます。
 
この背景には旧フセイン独裁体制下で任命制で指導的立場についていた少数のイスラム教スンニ派は、民主的な選挙制度が導入されたことで、圧倒的な人数差をもつシーア派にたちまち議席を奪われるかたちになったことによります。
 
これまで虐げられていたイラク新政権は、権力の後ろ盾のもとに、敵対する宗派や旧体制の人達を徹底して迫害しました。日常的に不当な逮捕や勾留、残虐行為が行われました。
 
このような状況下でISのような過激派組織が生まれてくる素地が出来上がりました。

ISの台頭と崩壊

イラクのこのような混乱の中でイラク西部で2006年あたりから過激派組織ISが勃興し、イラク新政権に怒りを待つ人達を吸収しながら、米軍やイラク新政権にも劣らないような残虐ぶりで周囲を侵食していきます。
 
ISは更に、「アラブの春」の影響からはじまったシリアの内戦につけ込み反シリア政府分子と合流しながらシリア内部へも勢力を拡大していきます。
 
そして2014年、イラク北部の都市モスルを制圧したISは国家樹立を宣言します。
 
この辺がISの最盛期となりますが、その後米仏を始めとする有志連合軍の空爆作戦の結果、後退を余儀なくされ2017年10月、イラク北部の都市ラッカがクルド人による「シリア民主軍」により陥落し、過激派組織IS国はようやく崩壊しました。

イラクの現状

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しかしIS国は形が消滅したというだけで、決して終焉したわけではなく、イラクでは現在においてもISが関与するテロや戦闘が突発的に起こっています。
 
そしてISの思想は世界中に拡散して潜伏しており、いつまた形をもって再現するかもわからない状況にあります。
 
現在のイラクは町の半分が廃墟と化しており、インフラの整備も整わず、影に潜むISの脅威とあちらこちらに爆発物が仕掛けられている現状で、未だに帰還できない避難民は国連人道問題調整事務所(OCHA)によると230万人以上はいるといわれています。
 
この16年間でどれだけの人が殺害されたのでしょうか。ロンドンに拠点を置くNGOの発表では一般市民で20万人、戦闘員も加えると28万人を超えるとしています。
 
これによると一般市民の方が戦闘員の死者よりも2倍以上も多いことになります。
 
これは主に、都市部など人口の密集地で戦闘が起こったり、空爆に巻き込まれたためと考えられます。それにしても死者の数はこれよりも遥かに上回ると思われます。

イラクに必要なことは?

現在のイラクには、まず第一に暴虐の限りを尽くす過激派残存勢力の根絶を図り、治安を回復することが優先課題となります。
 
並行してIS掃討のために破壊され尽くしたインフラの整備や荒廃した市街地のすみやかな再建が必要です。それには巨額の復興資金を確保しなければなりません。
 
イラクは向こう10年間の復興資金として9兆円に近い資金を提示していましたが、2018年2月時点で3兆2千億円の援助や投資が「イラク復興国際会議」において決まっています。
 
その他、解決は困難と思われるような思想的、政治的な問題も山積していますが、これらは知恵を絞って乗り切るほかはありません。
 
何よりもすべてのイラク国民に明日への希望を抱かせることが大事です。

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おわりに

戦争の残虐さは人間を変えます。どのように言い繕っても戦争という行為は正当化できるものではありません。
 
日本では当時小泉政権が米国のイラク戦争に支持を表明し、自衛隊をイラクの国家再建の支援のために派遣しました。
 
派遣された自衛隊員は、2003年から約6年間の任務を全うして帰還したのですが、そのうち29名もの人が帰国後に自殺されているそうです。
 
非戦闘地域に限った派遣であり、心身ともに任務に耐えられるとして選抜された強い人達なはずです。
 
彼らは現地で一体何を見たのでしょうか。