ロックダウンとは、各国の感染状況と対応について!

東京都内での新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。

これを受け25日午後8時過ぎ、小池都知事は東京都庁で緊急記者会見を開き、「感染爆発」「重大局面」として今回のコロナウイルス騒動に対する深刻な危機感を表明し、都民に対して不要不急の外出の自粛を要請しました。

ロックダウンされて人通りの絶えた街のイメージ画像

さらに、状況によってはロックダウンの発令もあり得るという悲壮な決意を表明しました。

本稿ではこの聞きなれない言葉、「ロックダウン」とは何なのか分かりやすく解説し、現在の世界各国の感染の状況と政府の対応についてまとめてみました。

はじめにロックダウンとはどのようなことでしょうか。

スポンサーリンク

ロックダウンとは

ロックダウンとは都市封鎖を意味します。

本来、公共施設や学校等で、外部からの侵入者に対して内部の人間の安全確保のため建物を封鎖することですが、今回のロックダウンの意味は市町村等の一定領域において人の屋外活動や移動を制限若しくは禁止し、その領域への出入りを封鎖することです。通常期限付きで発令されます。

ロックダウンがなされなければ最悪の事態が想定される場合に発令され、実効性を担保するために罰則規定がある場合と「要請」や「指示」にとどまる場合とがあります。ロックダウンはすでに中国の武漢市封鎖をはじめとし、感染者がオーバーシュートしている欧米各国で発令されています。

ロックダウンの最大のメリットは一定領域を封鎖することにより感染の拡大を防ぐ効果を期待できることにあります。それにより終息に持ち込めればこれに越したことはありません。

しかしその経済に及ぼす影響は甚大です。ロックダウンが長引くにつれて多くの中小事業者や小売業者、個人事業者は持ちこたえられずに倒れることになります。

各国政府はウイルス対策と同時に、実情に即した実効的な金融財政政策を施さなければなりません。

それでは現在の新型コロナウイルスの感染状況はどのようなものでしょうか。

最初に日本における新型コロナウイルスの感染状況と対応について概説します。

日本の感染状況と危機感

3月25日時点で、厚労省によるとクルーズ船を除いて確認された感染者数は1,269人、死者数45人、退院者294人とされています。

東京都では3月に入ってから感染者が増加しており、特に23日、24日、25日の感染者数が、それぞれ16人、17人、41人と急激に増えており累計では212人の感染者数を記録しました。

問題なのはこれまで感染が確認された感染者のうちに感染経緯が不明の患者が増えていることです。東京都知事の危機感の表明はこの急激な感染者の増加と感染経緯の不明を受けてのことと考えられます。

特に感染経緯が不明の場合はイタリアやフランスのように爆発的な感染者の増加に繋がる恐れがあり、今回の都知事の迅速な反応と強い危機感の表明は称賛に値するかと思われます。

その上で、実際に東京都に封鎖が発令されるかどうかは関東圏内に居住する国民一人一人の自覚と感染予防策にかかっていると言わざるを得ません。緊急記者会見での小池都知事の深刻な危機感が国民全体に共有されることが切望されます。

次に各国の感染状況と政府の対応はどのようなものでしょうか。

各国の感染状況

世界各国の3月下旬における感染状況と政府の対応について、イタリア、フランス、アメリカ、中国、インドに関して概説します。

日本も含めて各国の感染者数は、現時点で検査中や検査待ちの人たちが大きな割合を占めており、1日経過するごとに数十人から数百人、或いは数千人単位で陽性反応者が増大する可能性があるため数字は大体の目安となります。

イタリアの悲惨な状況

イタリア全土で行っているロックダウンの厳しい措置から2週間が過ぎようとしていますが、感染者が60,000人に迫り、死者数が5,000人を超えています。中国に次ぐ最大の被害国になっています。

さらに医師や看護士等の医療従事者の感染者数が3,700人も出ており医療現場は深刻な打撃を受けています。

これに対しキューバ、アメリカ、ロシア、中国などの国々が医療専門チームを送り込み人員や医療機器などの支援活動を活発化させています。

フランスの爆発的な感染拡大

フランスでは3月1日に100名程度であった感染者数が、中旬から激増して24日時点では11,000人を超え、死者数は1,100人に達しています。

すべての国民に当初15日間のフランス全土の外出禁止などの移動制限を内容とするロックダウンを発令していましたが、政府は更に期間を引き延ばす方向に動きそうです。

実際にパリに住んでいる人の話では、当初外出する違反者が多いので罰金も次第に値上がりし、ついに4度違反した人は50万円の罰金と実刑が待っていることになったそうです。

但し良い点としては封鎖により市中感染の脅威から解放され、マスクやアルコールなどの防疫商品が比較的普通に入手できるようになったことを話していました。

アメリカの危機感の欠如

トランプ大統領は3月初め、アメリカ市民以外のヨーロッパからの入国を30日間停止することを発表しています。

感染状況は25日時点で感染者数は54,000人、死者数は700人を超えています。アメリカの特徴はフランスなどと同様に短期間の感染者の爆発的な増大にあります。

カリフォルニア州サンフランシスコ市はアメリカで初感染者を確認し自宅待機命令を出した都市であり、ケーブルカーも運行を停止しています。

同州では知事が州内4,000万人を対象に20日から始まる外出禁止令を発令しました。しかし週末にはビーチや公共のスペースにはたくさんの人々が訪れたそうです。

このような人々の危機感の欠如が短期間の爆発的な感染拡大に繋がっていることは間違いないかと思います。

東部ニューヨーク州のクオモ知事は、ニューロシェル市が米国最大のクラスターになっているとして、市の周囲にロックダウン地域を作り、消毒作業などのために州兵を派遣する方針を固めています。

わが道を行く中国

今回の大騒動の発生元の中国では、24日時点で感染者は81,000人、死者数は3,200人を超えています。

初動の遅れもありましたが感染が拡大されるや武漢市を大規模にロックダウンし、中国政府は真剣に感染拡大の防止措置を講じました。

3月19日、中国国家衛生健康委員会の最新データでは、18日に中国国内で発生した新規感染者数はゼロをであることを発表しました。

この機関の公表する数字はあまり信用できませんが、この発表が本当であれば新型コロナウイルスは終息か、若しくは終息に近づいていることになります。

現在は徐々に制限の緩和に動いている様子がうかがえるところから終息に近づいているのかも知れません。

インドの英断

インドにおけるこれまでの感染者数は519人、死者数は10人と報告されています。

この数字は世界的に見て極めて少ない数といえますが、モディ首相は断固とした危機感を以てロックダウンを発令しました。

すなわち、25日から国土全領域に3週間のロックダウンを実施するものとし、内容はインド入出国の禁止と国民の外出の禁止とされています。これは極めて厳しいロックダウン措置と言えます。

13億人という人口を抱えるインドにとってまかり間違えるととんでもない事態に発展します。このような決然とした徹底的な対処はまさしく英断と言えるのではないでしょうか。

おわりに

今日は普段聞きなれないロックダウンという言葉についてリサーチし、さらに各国の最新の感染状況についてまとめてみました。

この1~2ヶ月間の爆発的な感染者数の増大に驚愕するばかりですが、何かをしなければさらに状況が悪化する懸念があります。

そうした中でロックダウンという言葉が出てきました。各国ともロックダウンの効果として、日ごとの感染者数の減少を期待しています。

要するにウイルス騒動の終息を望んでいるわけですが、終息後の世界経済が気になります。

世界各国はウイルス対策と同時に、一致団結して実効的な経済政策を施さなければ多数の破綻する国家が出るかも知れません。

本当に怖いのはウイルス騒動が片付いた後の極度に疲弊した世界の経済状況に直面することかも知れません。