いよいよアメリカで中間選挙が始まります。世界第一位の経済大国の意思決定機関たるアメリカ議会の構造改革になります。その結果は世界の各方面に影響を及ぼします。
ところでこの中間選挙とは、いったいどんな意味と影響があるのでしょうか。
本稿ではこのアメリカの中間選挙の意味と影響について分かりやすくまとめてみました。
中間選挙とはなんですか?
アメリカの中間選挙とは、上下両院議員と州知事を選ぶ選挙のことで、大統領選挙のない年に行われる選挙のことを指します。その選挙日は連邦法で「11月の第1月曜日を含む週の火曜日」と定められています。
アメリカでは上院と下院で議員の任期が異なります。上院では任期は6年で2年毎に3分の1が改選され、下院では任期が2年で選挙のたびに全員が改選されます。
大統領の任期が4年なので、大統領選挙から2年を経た中間の年から4年毎に公選職の中間選挙が行われることになります。
アメリカ議会において、上下両院の権限は基本的に対等と言われてはいますが、やはり日本における参議院と衆議院の関係にみられるような下院の優位の原則が認められています。
これは上院議員が民意によらない要因によって選出されるのに対して、下院議員は国民が直接、間接に選ぶことができるからです。そうすることで「民意の反映」といった民主主義の基本理念が生かされることになります。
議席数にしても上院の100議席に対して下院は435議席と圧倒的に多い議席を占め任期も2年と短く、全員が改選される構成から「国民の意思を問う」ことが効果的にできるシステムになっています。
中間選挙の意味はなんですか?
中間選挙は、大統領のそれまでの2年間の施政に対する国民の審判という意味合いがあります。もしも国民が大統領の政策を評価しないのであれば、政権担当政党の得票率の低下という形で数字に表れます。
中間選挙の結果、政権政党が議席を大きく減らした場合、国民の信任を得られなかったということで、現大統領のそれ以降の政策決定に大きな影響を与えることになります。このことは対立政党にとっては巻き返しのチャンスにもなり得るわけです。
逆に政権政党が議席を大きく増やした場合は、この2年間は国民の期待に十分応えた施政であったという国民からのエールであって、大統領にとってはそれ以降の政策決定が非常にやりやすくなります。
但し、かといって次の大統領選挙で再選が果たせるというわけでもありません。中間選挙と大統領選挙は別ものであり、過去の例をみても中間選挙で敗北しても大統領選挙では再選された例もみられます。
その影響は…
結局、アメリカ中間選挙とは大統領のそれまでの政策に対する国民の審判という意味がありました。その結果それ以降の大統領の政策に関わる方向性に大きく影響を与えることになります。
何と言っても世界第一の経済大国の中間選挙です。その動向は世界中が見守っています。
その結果については世界の各方面が様々に予想し、それに基づいた専門的な分析や思惑が錯綜しており、その結果を踏まえて世界中の国や法人、個人の政治面、経済面における長期的、短期的な動きが定まります。
そのためアメリカ中間選挙の影響は世界各国の為替や株価、及び貿易や政策決定など、関連するあらゆる方面に影響を及ぼすことになります。
おわりに
この中間選挙、波乱があるかどうかが焦点になります。ここで波乱とは「ねじれ」のことで、大統領の政権政党と議会の多数派政党が選挙の結果異なるような状況をいいます。
色々な分析がみられますが、
大きなねじれがなければ日米とも株価は一旦上昇しても、中米貿易摩擦などからそれほどの高値には至らないという分析や、
ねじれの有無にかかわらず中間選挙後の不透明感払拭から米株価の上昇が始まりそうだとの見方までありました。
いずれにしても世界経済に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。日本としては悪影響は及ぼさないで欲しいものです。