香港デモが収束しない、懸念されることは!

「逃亡犯条例」改正案に端を発する香港の大規模デモが既に3ヶ月近く続いています。一向に収束する気配がみえず、ますます過激に拡大しています。
 
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こうした事態を憂慮して中国は軍を集結させる様子が見えます。またアメリカも牽制の構えを崩しません。

本稿ではこのような事態に懸念されることについて考えてみました。

はじめにデモの経緯から解説します。

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香港デモが収束しない

この騒動の発端は、中国への犯罪人の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案に危機感を抱いた香港市民がデモで抗議行動を起こしたことに始まります。

あまりにも大きな騒ぎに発展したことに驚いた香港行政当局は一時保留として騒ぎを収束させようとしましたが、それでは収まらず改正案の「撤回」が要求されました。

この背景には「一国二制度」の理念のもとに統治がなされるはずなのにじりじりと香港市民の自由と民主主義に制限が加えられている現実があります。

今回問題になっている香港の行政当局の長たる行政長官は民主的な選出ではなく、事実上中国政府により任命されていることも関係しています。

行政長官は香港市民の改正案の「撤回」の要求に対して、あくまでも「延期」であるとして取り合わなかったことからデモは収束に向かわずに悪化して長期化の様相を呈し、今日に至っています。

デモ参加の香港市民は行政当局に対してこの問題だけでなく、住宅問題などこれまでの不満が一気に爆発しているものと思われます。現在では法案の「撤回」に加えて長官の「辞任」も要求しています。

デモの態様は当初は都市部でのストライキなどを含む示威行動でした。それが次第に周囲に拡大していき、空港を占拠して空港閉鎖に追い込むなど暴徒化の様相を呈しています。

中国の反応

中国側は行政長官の選任などへの介入は否定し、デモ隊は暴徒であリ一国二制度への挑戦であるとの見方を示しています。

さらにアメリカに対しては、香港の民主化活動家とアメリカ外交官が接触したことの報道を受けて香港に介入しないように要請しています。

しかし香港デモの長期化を憂慮し軍を集結させ、介入の機会を考慮しており、同時に国際社会の目を気にしている様子も伺えます。

アメリカの反応

アメリカ議会の有志議員は当初から香港市民のデモには支援の立場を表明していました。

今回も米国が香港に認めている優遇措置を撤回する可能性を示したり、米艦隊の香港寄港を中国に要請するなどして中国の介入を牽制しています。

しかしトランプ大統領は、今月1日に今回の香港デモに関して、「暴動」であり、中国政府が対処すべきだと発言しています。[香港 2日 ロイター]

これは中国の介入を容認している発言であり、アメリカは議会と大統領で認識にズレがあることが気になります。

香港デモへの懸念

デモは一定の目的をもって行われます。数十万人規模のデモ行為が都市部で行われると、病院や公共機関、鉄道などの交通機関に甚大な影響を及ぼします。

しかし当初はデモの目的が全体的に共鳴されていたためにそれなりに容認されていました。

それが予想外に長期化したり、破壊活動に転じたり、空港の妨害など暴徒化してくると、デモにより被る不利益が大きくなったり、デモを支持できなくなったりする香港市民も出てきます。

今回の香港デモの特徴は若者が主体とされています。デモの指導者はこの辺りのことは考えているのでしょうか。

いたずらな破壊行為はもはやデモではなく暴動であり、何の意味もありません。暴動であれば、当局に口実を与え鎮圧により収束されるだけです。国際社会の支持も離れてしまうでしょう。

今回のデモの指導者がもしも存在するのであれば、多くの香港市民が参加する正当なデモ行為が「暴動」に化することのないように導くことが重要な責務となります。

この騒動は当初より国際社会が注視しており香港市民は支持されています。それが軽はずみな行動により国際社会の支持が離れてしまうことが懸念されます。

おわりに

デモは自由主義社会では権利として容認された行為ですが、そこにはルールと限界があるはずです。

デモ隊によるジャーナリストに対する暴行事件などは、多分に当局の策謀の可能性が大きいとしても、もしも事実とすれば論外でありましょう。更に、香港国際空港を閉鎖に追い込むなどの行為は如何なものかと思わざるを得ません。

香港はアメリカのニューヨークに相当するアジアにおける金融、経済の中心地であり、世界中の人々が出入りする香港の玄関口です。このような場所を暴力的に占拠する行動は国際社会にどのように映るでしょうか。

「こうでもしなければデモの効果がないからやむを得ない」という理屈は通用しない。それならば「人質をとってでも自己の主張を押し通す」という論理と同じことになってしまいます。

自らの主張を通すために、「人質をとる」ことと、「空港を占拠する」ことを同質に論じることはできないとしても、大差はないような気がします。

香港市民としてはデモを「暴動」に移行させないような節度ある賢明な行動が望まれます。