イギリスがEUから離脱する理由と影響を調べてみました!

昨今マスコミではイギリスがEUから離脱すると大騒ぎになっています。

一体どのような理由があるのでしょうか。その影響にしても大きなものがあるはずです。厳しい面持ちのメイ首相の画像がクローズアップされたりしています。

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つい先日では「NAFTA」についても同じような騒ぎがあったばかりです。なぜこれほどの騒ぎになるのでしょうか。一体EUとは何なのでしょうか。

本稿では、イギリスがEUから離脱する理由と影響を調べてみました。

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EUとは

EUは「European Union」のことで、いくつかの段階を経て今日の巨大な組織に発展しています。

第二次大戦の悲惨な教訓から、再び争いのない平和で自由な社会を築くために、欧州各国は一致団結しようとの想いから始まった独仏の取り決めが発展的に拡大してEUへと結実しました。

その基本理念は人、モノ、お金、サービスの4つは自由に域内を移動できるということです。したがって域内ではどこの国にでも行って居住できるし、自由に商売もできてその上関税もかからないわけです。

設立当初は数カ国でしたが、2017年には途中加盟のイギリスを含めて28カ国が加盟する一大経済圏へと成長しました。

EUの先駆けとなる諸取り決めが統合されたのが1967年で、当初は欧州共同体(EC)と呼ばれ、その内容は主に「原子力」「石炭・鉄鋼」「経済」に関する取り決めから構成されていました。

その後1993年の欧州連合条約では外交や安全保障、警察・刑事司法協力などの取り決めも加わり加盟国に対する政治的な統合性が一層色濃くなっています。

更に2009年のリスボン条約ではこれらの関連諸条約に若干の修正が加わり現在に至っています。本部はベルギーのブリュッセルにあり、「欧州連合」とか「ヨーロッパ連合」と呼ばれています。

イギリスは1973年にあくまでも経済的な理由からEUの単一市場に参加した経緯があります。そして国民投票により加盟を維持してきましたが、EUに本格的に参画しようという意思は当初からなく一定の距離を保ち、通貨もユーロではなくポンドを維持しています。

そのイギリスが2016年に国民投票により、僅差でしたがEUからの離脱を決めました。

EU離脱の理由

以下がイギリスのEU離脱の理由と言われています。

離脱理由その1: 移民問題

EU加盟国の中には貧しい国も多く、そうした国々から見るとイギリスなどは手厚い社会保障制度が完備しており、所得水準も高く憧れの国であり、そのような国に住みたいと思います。

結果的に沢山の移民がイギリスに流入することになり、イギリスとしては移民がもたらす経済的利益よりも負担の方が遥かに大きくなりました。すなわちイギリス国民の税負担が増大しているのです。

その他に移民は低賃金で雇用されるために本来のイギリス人労働者の仕事を奪う形になってしまいます。

同時に国が違うということは考え方も価値観も違うわけで、そうした人達が身の回りに急増していくことで不安感が増します。そこにテロ事件が勃発しました。不安感は恐怖感に変わりました。

EUに加盟している以上、イギリス単独で移民の流入を拒否したり、移民の数を制限することはできません。

離脱理由その2: EUの細かい規制

EUは2万件以上もの細かい決まり事を制定して加盟各国の国家主権を超越する形で規制を課しています。

加盟国は経済や外交、労働や環境などの各方面で事細かく規制されます。すなわちEUとの合意に抵触する国内法はたとえ法整備の必要があろうとも立法できないわけです。

また単独でEU圏外の他国と自由に貿易や通商上の協定も結べません。常にEUの監督下にあり、こうしたことから加盟することのメリットよりも逆に国益の毀損の方が大きいのではないかとの懸念が膨らんでいます。

その上EUのエリート幹部として決まり事の決定に関与している、一部の官僚主義的な職員による、有り得ないような決まり事に従わなければなりません。

かつてのいわゆる「バナナ規制」を一例として挙げますと、バナナの長さやカーブにまで細かい決まり事があったそうです。

その意味は、

「過度に曲がった高級バナナを売ってはならない」のだそうです。

おそらく一事が万事であろうと思われます。肥大化した官僚主義の弊害の最たるものです。

巨大な利害と思惑が渦巻くEU本部では大企業や政府に雇われたロビィスト達に取り囲まれ、持ち上げられた経験不足のエリート幹部は、適切且つ十分な検証もせずに現況にそぐわない決まり事を次々とつくりだしていったのでしょう。

EUからの完全離脱はいつ

イギリスは2016年6月23日に国民投票でEUからの離脱を決め、これによりキャメロン首相は辞任し、次のメイ首相は2017年3月末までにEUに離脱を通告すると表明しました。

イギリスがEUを正式に離脱するのは、事後処理の取り決めなどもあり1~2年ぐらいかかるようです。従ってイギリスのEUからの完全離脱は2019年初頭になるものと思われます。

EU離脱の影響

では次にイギリスのEU離脱は国内外にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

イギリスへの投資額の低下

ロンドンには世界各国の金融機関が集中しており、欧州に投資しようとする企業の拠点となっていますが、EU離脱によりイギリスのそうした中心的な地位は低下し、同時にイギリスへの進出企業も減ることになります。

「イギリス」という国のブランド力の低下

イギリスは大英帝国として一世を風靡して以来、西欧諸国の中でもとりわけ誇りの高い国であり、「栄光ある孤立」という考え方が根付いています。今回のEU離脱に際してもそうした考え方が影響していたかも知れません。

イギリスの経済規模から考えてもEUを抜けたところで孤立することはないとしても、EUは今や巨大な国家連合へと成長しています。EU成立当初に比較すると、もはや時代が変遷しており、イギリスという国のブランド力が低下することは否めないでしょう。

各国企業のイギリス脱出

人、モノ、お金、サービスの移動の自由がもはやイギリス国内では通用しなくなれば、EU加盟時のメリットを受けられない外国企業は利益率が下がりイギリスから脱出することになります。

特にグローバルな自動車関連メーカーが脱出すると国内工場の閉鎖が起こりそれにより雇用をはじめ経済面には大きなダメージを受けることになります。

イギリスの貿易額の低下

イギリスに多くの製品を輸出しているEU加盟国は輸出先を他に探さなければならなくなります。

EU域内で取引しているイギリスの企業は煩雑な手続きが発生し、特に許認可権がからんでいる製薬会社などは、これまでのように自由なビジネスは不可能になります。

ポンドが下落

対ユーロで、ポンドが下落することで輸入が落ちても輸出が増えるという主張は当たらない。
輸出するにはEU域内であっても今度は関税がかかるからです。

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関税率を考慮しても輸出による利益が大きければイギリスとしては経済面ではペイするでしょう。

北アイルランド問題の再燃

イギリスが抱える「厄介事」があります。いわゆる北アイルランド問題です。

EU離脱によりアイルランドと北アイルランドとの間に障壁ができた場合、経済成長によりかろうじて小康を保っている、アイルランド統一のためのテロ事件が再燃する懸念があります。

この歴史的な問題については別稿にて解説しています。

まとめ

イギリスがEUを離脱することにより、イギリスはある意味で国家の主権は回復するとしてもデメリットは甚大です。

イギリスの脱退がこれほどまでに騒ぎになるのは、

まさか脱退はしないであろうという多数の予測が外れたこと、及びそのことから受ける自国の影響を憂慮してのことと思われます。

イギリスとしては事後処理の話し合いの中で貿易や関税の問題など、相互に影響を及ぼす諸点に関してEUとの妥協点を確保し、その上での離脱にすべきと考えます。