中東戦略同盟(MESA)に見える恥ずかしい本音とは…!

中東地域における「中東戦略同盟(MESA)」という同盟構想があります。
未だ構想段階であり条約として発効しているわけではなく、詳しくご存知の向きは少ないかと思われます。

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中東地域において、これに類似した同盟構想自体はずっと以前からありましたが、2018年7月あたりから、サウジアラビアと米トランプ政権の協議により具体化されだした同盟構想になります。

これについてよく調べてみますと、その根底に潜む恥ずかしい本音を垣間見ることができます。

本稿では現トランプ政権が推進する中東戦略同盟(MESA)に見える恥ずかしい本音について分かりやすく解説します。

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中東戦略同盟(MESA)とは?

中東戦略同盟とは MESA (Middle East Strategic Alliance) のこと。
 
この同盟の目的は中東の大国イランを封じ込めることにあります。これによく喩えられる同盟に北大西洋条約機構(NATO)があります。これは旧ソ連を封じ込める西側陣営の同盟でした。
 
加盟国の1国がソ連に攻撃されたら全加盟国はこぞってソ連に反撃をするという条約です。
 
中東戦略同盟は現在構想段階であり、具体的な規定は整ってはいませんが、全加盟国が一致団結してイランを封じ込めることが目的の同盟で、中東版NATOとも言われています。

どんな状況で出てきた構想なの?

1979年のイラン革命により政権を奪取したイラン革命政権は周辺諸国に散らばるイスラム教シーア派の同胞を支援し、決起を促す政策を続けてきました。
 
この時以来のこの政策が今日の中東情勢を複雑化させる要因となっています。
 
当然周辺のイスラム諸国は革命思想が自国に入り込むことを恐れるあまり、イランとは距離を置き、或いは敵対する関係にならざるを得ません。
 
サウジアラビアはその代表的な国になります。現にイエメンではシーア派フーシとイエメン暫定政権が、それぞれ後押しをするサウジアラビア・アメリカとイランの代理戦争をしています。
 
シリア、レバノン、パレスチナ、イラクにおいてもイランの息のかかった強力な武装勢力が跋扈しており、中東圏におけるイランの影響力は拡大しています。
 
こうした状況下でこの同盟構想は、サウジアラビアと核疑惑などで同じくイランに危機感を持つ米トランプ政権との間で提起され、合意に達しました。

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この同盟構想の加盟国は?

構想では、加盟国としてサウジアラビア、クウェート、オマーン、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、の湾岸6カ国、オマーン以外はすべてスンニ派の国々で、それにエジプトとヨルダンを加えた諸国が挙がっています。
 
但し、これらの国々のすべてがイランを敵対視しているわけではありません。
 
8000万人という人口を擁する大国イランの市場に関心を持ち、交流を望んでいたり、或いは少なくともイランとの関係を悪化させたくないと考えている国もあります。
 
これらの国々の共通項は軍備を自前で装備できないことにあります。戦車や軍艦、戦闘機を自国で生産するほどの設備や技術の持ち合わせはありません。戦闘が始まるや兵器はすべて他国から調達しなければなりません。
 
軍産複合体として動いているトランプ政権は、当然この辺りを十分に想定した上で行動しています。ビジネスマン的な打算がないはずはありまぜん。

軍産複合体とは

軍産複合体とは一国の軍部と民間軍需産業の密接な相互依存関係を示す概念です。特に第二次大戦後に先進諸国に見られる政権と民間軍需産業間の抜き差しならない体質のことを表します。
 
これらの軍需産業は戦争や軍拡競争が起こることで巨大な利潤が得られるという特徴があります。
 
そして政権は国防その他の様々な政策的思惑からこれらの軍需産業を保護しなければなりません。アメリカの場合、一説には2万を超える関連企業が存在するそうです。彼らの保護には巨額の資金が要ります。
 
極論を言うと、自国とは遠い地域で、軍拡競争もしくは戦闘が起こりそうな状況が現出することが望ましく、企図の有無にかかわらず戦争が起こると軍産複合体としては大いに潤う結果になります。

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中東戦略同盟の恥ずかしい本音とは

トランプ政権のこの同盟構想には、主として以下の2つの思惑があるように思われます。
 
兵器輸出による自国軍需産業の保護
中東戦略同盟により中東地域に軍拡競争、若しくは戦闘が始まることが大きな国益に繋がります。軍産複合体として最大限満足な成果が得られます。
 
同盟諸国にはアメリカからの兵器輸入経路を確立し、他の兵器輸出国は協定により排除すれば済みます。それにより戦争が始まっても、自国からは遠く離れており自国民が被害を被ることはありません。
 
イランの押さえ込み
しかし表面的にはイランは危険で悪い国であることを強調しなければなりません。それがすべての前提であるからです。
 
結果的にイランの中東地域での拡張に歯止めがかかればそれもまたトランプ政権の実績に繋がります。トランプ大統領としてはこれほど理想的な「ビジネスの場」はあり得ないと思われます。
 
しかしながら、中東を本気で安定させたいのであれば、大国としての品格のある対応策が他にあるはずです。オバマ前大統領が苦労して構築したイランとの和解の合意を潰すことはなかったはずです。
 
この中東戦略同盟構想についての本稿の見解が単なる杞憂であることを祈らずにはいられません。

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おわりに

今、現在も中東各地で戦闘が続いています。爆撃により無防備な一般市民が塗炭の苦しみを味わっています。
 
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爆撃で家が破壊されたら住む場所がなくなるばかりか、経済活動がストップするとその日の食べ物もなくなります。
 
必然的に避難民の集団が出来上がります。彼らは行く宛もなければ、今晩眠る場所さえありません。中には負傷者や両親を亡くした孤児もいます。
 
大国の政治的な思惑はこのような犠牲を一顧だにしません。常に自国の権益だけが視野に存在します。
 
しかし、ここで唯一の救いが起こりました。
 
2019年4月、エジプトがこの構想から事実上の離脱をしました。トランプ政権のなりふり構わないイラン叩きの真意を洞察したのでしょうか。
 
大きな影響力を持つエジプトの離脱によりこの同盟構想自体が瓦解する可能性が大いに高まったのです。