G20の大阪サミットが6月28日より2日間、大阪市で開催されます。
ところでG20とは、結局何のことでしょうか。
会合の参加国の数を示していることは分かるとしても、G5やG6、G7やG8などの関連用語が次々に出てくると混乱してきます。
本稿ではこの辺りの混乱を解きほぐし、これらの関連用語の意味について分かりやすくまとめてみました。
はじめに「G20大阪サミット」の定義からお話していきます。
「G20大阪サミット」とは?
G20とは通常、大阪サミットのことをいいます。この会合の正式名称は2008年から始まった「金融・世界経済に関する首脳会合」であり、金融サミットとも呼ばれています。
但し1975年、フランスで第1回目会合が行われた「(G5、発展G6、G7、G8)・先進国首脳会議」とは別物です。こちらの方もサミットといわれていますが、G20より古い歴史があります。
どちらの会合でも当番制で議長国を決め固定した事務局や職員が存在しないのが特徴で、開催中は議長国がその役目を担います。
この「金融・世界経済に関する首脳会合」は、世界的な金融危機を受けて2008年に第1回目会合がアメリカのワシントンで開催されており、今回の「大阪サミット」は第14回目の開催になります。
そしてG20の会合はこれだけではなく、他に8つの会合があります。その会合の名称はそれぞれ異なり、「大阪サミット」に前後して別々の場所で開催されます。
これらは個別の会合であり、大阪市で開催される「大阪サミット」に付随する会合になります。
次にそれぞれの大阪サミットに関連する会合の内訳をご紹介します。
G20大阪サミット関連会合
大阪サミットに関連する国際会議は既に終了しているものがありますが、大阪サミット終了後に予定されているものもあります。
以下にその名称と開催地、及び開催日を挙げます。
① 農業大臣会合
新潟県新潟市
開催日:2019年 5/11~5/12
② G20 地域財務大臣・中央銀行総裁会議
福岡県福岡市
開催日:2019年 6/8~6/9
③ 貿易・デジタル経済大臣会合
茨城県つくば市
開催日:2019年 6/8~6/9
④ 持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合
長野県軽井沢市
開催日:2019年 6/15~6/16
⑤ 労働雇用大臣会合
愛媛県松山市
開催日:2019年 9/1~9/2
⑥ 保健大臣会合
岡山県岡山市
開催日:2019年 10/19~10/20
⑦ 観光大臣会合
北海道倶知安町
開催日:2019年 10/25~10/26
⑧ 外務大臣会合
愛知県名古屋市
開催日:2019年 11/22~11/23
つまり「大阪サミット」を含めると合計9つの会合が各地で開催されるわけです。この辺は混乱すると思われますが、さらにG20から始まってG5、G6、G7、G8と関連用語が出てきますと混乱に拍車がかかります。
それでは次にG20に関連して出てくる G5とG6、及び G7とG8の意味について解説します。
G5、G6、G7、G8の意味とは
1970年代に入ると、ニクソン・ショックや石油危機などの経済危機に直面し、先進国間では金融や貿易などの経済問題について政策協調の観点から協議の場が必要となりました。
このような背景から、ジスカール・デスタン仏大統領の主導により1975年11月にパリで、ランブイエ・サミットが開かれ、5ヶ国「米、英、日、仏、西独(当時)」による「先進5ヶ国首脳会議」の開催の合意が成立しました。
こうしてG5が誕生しました。Group of Five の略称です。
ところが「第1回先進国首脳会議」にイタリアが自らの存在感をアピールしてG5に加わりました。
ここにG6が誕生します。
しかしこのメンバーだと欧州勢が多く、偏りがあるとして翌1976年にアメリカがカナダの加入を推薦しました。
このような経緯から1976年、G7が出来上がりました。そして「G7・先進国首脳会議」として続いていきます。この流れは「G20大阪サミット」とは別系統です。
その後、1998年のサミットからロシアが正式に参加し、ここにG8となり名称も「先進国首脳会議」から「主要国首脳会議」と変更になりました。
G8の意味はロシアの参加にあったわけです。しかし、2014年になりますと、ロシアによるクリミア併合問題が起こりました。
加盟国は、これを受けてロシアに対する制裁として、G8としてのグループへの参加資格の停止を決定しました。
ここに再び「G7・先進国首脳会議」に戻ることになります。そして今日に至っています。
なお、「G7・先進国首脳会議」は日本では2016年5月26日・27日の両日の「伊勢志摩サミット」で終了しており、2019年は8月25日~27日の期間、フランス開催が予定されています。
おわりに
「G20大阪サミット」は当初からのG7のメンバーに加えて、新興国を加えた様々な国々や地域、組織が参加します。
参加国の多様さ故に全体が一致して満足し、合意に達するような協同声明に漕ぎつけることは難しいとしても、二国間での協議には甚だ興味深いものがあります。
米中貿易摩擦、香港騒動、核開発、ホルムズ海峡、ゴラン高原、イエメンやシリアの内戦など重大な問題が山積しています。
これらは当事国間による踏み込んだ協議が必要であり、問題解決のための絶好の機会にもなり得ます。
今回の「G20大阪サミット」の開催は二国間協議、当事国間協議という点において、非常に意義深いものがあると考えます。